Thursday, August 15, 2013

お互いに支えあう関係を目差す事 (メッセージのご紹介)

IPSのワークブックを読んだことや感想などをお電話くださり、8/12付のブログでご紹介させていただいた中村さんから文章をお送りいただきました!
お名前も文章も、何もかも全てこちらのブログにどうぞ掲載してください、とのことでしたので、掲載させていただきます!中村さんどうもありがとうございます!

中村さとるさんは、熊本で当事者研究に取り組んだり、プログラムを立ち上げたり、いろいろな人の前でご自身のご経験をお話したりされているとのことで、今回、いろいろなところでお話されたりしているという文章をお送りくださいました。

これらの文章は、ご自身で書かれたイラスト(ご自身の状況を描かれたもの)も含め、A4の紙にぎっしりと20枚あり、全てをここに掲載するととても長くなってしまうので、中村さんにご相談し、頂いた文章の中で、特にIPSに関連する部分を抜粋して、このブログ内に転載させていただくことにしました。

中村さんの文章はどこの部分もとても貴重なもので、私が独り占めしているのはもったいないのと、中村さんも読みたい人使いたい人には誰でもどんどん使って欲しいとのことでしたので、全文をpdfで読めるようにさせていただきました。(全文へのリンクは末尾に)

以下に、中村さとるさんからお送りいただいた文章のうちの一部を転載させていただきます。
(今回抜粋させていただいた部分はA4で4枚分にあたるもので、画像としての公開もOKとのことなので、4枚を一枚の画像に入れ込んでみました。↓)
最後に

あなたは与えられるだけの人ではありませんか?
今思えば精神病患者は自分の問題に関することだけに没頭するようにしむけられているように思えてしょうがありません。
病院では医者や看護師または医りょう関係者からの一方的なサービスを口を大きく開けてただ与えられることをまっているいわゆる受け身な治りょうを受けている人が多くいるように思えます。
従来の精神病患者にはお互いに助け合ったり誰かを助けたりする事をあまり必要とされていないように思えます。これは問題です。ただ一方的に受ける又は与えられるだけの関係は自信を無くしていくばかりではなく、自分が持っている可能性を断ってしまう原因になっていると僕は思います。
僕が言いたいのは「必要とし、必要とされる」「受けとる事が出来、与える事が出来る」人間関係こそが重視されるべきだと思います。要は自分にも人と関わり合い、助ける側にも立てる可能性をもっているという事です。それによって自信を持つ事が大切な事だと思うし、そこから社会参加への一歩を踏み出すんだと僕は思います。
なぜなら社会は持ちつ持たれつの関係が成り立っているからです。
だから持ちつ持たれつの関係こそが僕達に求められているんだと僕は思います。

あなたは与えられているばかりの人ではありませんか?
私も以前はそうでした。カウンセラーに困っている事を一方的に話しているだけでしたし、依存していたようにも思えます。当時の事を思い起こせば地域で孤立して暮らしていたように思えます。
でも本当は人と関わりと持ちたかったし、社会の一員になりたかった、もしくは社会に参加したいという気持ちが強くありました。
町の区役の係も回ってきたのですが妻に引き受けてもらっていたというのが本音です。

IPSに出会い援助を一方的に受けとったり一方的に与えたりする関係ではなくお互いに支えあう関係を目差す事を学び私は変わりました。
今、僕は地域で役員を引き受け、分からない事があれば近所の人にすぐにきいて助け合いながら生活しています。
又こちらからも近所の人にあいさつや声をかけたり、時にはぐちや困っている事を相談に乗ったりもします。
近所の人のぐちを聞けばそれ程僕の悩みが特別なものではないと気づいたし、ぐちを聞く中で精神病がどうとかではなく、人間関係を持ちつ持たれつという支点で見るようになりました。
今は近所の人に対してそれ程壁は高くなく、一方的な関係でもない事が僕なりにIPSで学んだ人との関わり方の成果です。
最後に

僕は家が欲しいとか、いい車に乗りたいとか多くを望んでいるわけではありません。
友達や仲間が欲しい、仕事がしたい、そんな人として当り前の幸せが欲しいだけです。
そして今に満足していると言えばうそになります。
その為に当事者研究を用いて少しでも生き辛さを改善したいと思っています。
今、精神的な病は確実に理解される病気へと向かっています。
20年前、精神障がい者はタバコとジュースさえあれば幸せだと押しつけられていた思い出があります。
今、精神障がい者は、一人の人間として当り前の幸せを与えられる時代となりました。
みなさん僕が怖いですか?危険人物に見えますか?
みなさんの心の中の偏見を正しく認識してもらう為、今日私はみなさんの前に立ちました。
中村さとるさん、本当にどうもありがとうございました。

みなさま
中村さんから全て公開OKといただいた文章全文はこちら↓にあります。
https://docs.google.com/file/d/0B_BJ_k6I6rAbZ2pIQk9YSHhnek0/edit?usp=sharing

中村さんが感じてらしたこと、今感じていらっしゃることなどを分けていただけたこと、とても感謝しております。中村さんからいただいた文章を読んでいる間、打ち込んでいる間も、ずっと心に何かが強く響いていました。どうもありがとうございました。

皆様
いただいた文章やメッセージを、私だけが独り占めしないように、皆さんとも分かち合えたら、と思っておりますが、どのような方法での分かち合い方がよいか模索中です。お気づきの点などがありましたら、どんなことでも教えていただければと思います。

Wednesday, August 14, 2013

からびな学習会IPSワークショップ IPSをたっぷり学ぶ in 北海道 報告書

いただいてから何ヶ月もたってしまいましたが、2013年3月に行われた北海道でのIPSワークショップおよび合宿の報告と、全国のIPSの勉強会の情報などの載っている報告書(リーフレット)をいただきましたので、ここでご紹介させていただきます。
「インテンショナル・ピアサポート 学びの生まれるコミュニケーション」 2013/3/8,9,10 からびな学習会IPSワークショップ IPSをたっぷり学ぶ in 北海道 報告書 です。
リーフレット表紙
IPSの北海道での研修会(コミュネット楽創地域ネットワーク委員会さんによるこの研修会のご案内はこちら●、このブログでのワークショップ報告はこちら●、合宿報告はこちら●)の報告と、それらに参加した方の感想等の載っている、ご覧のように美しいリーフレットです。
一番後ろに各地のさまざまなIPS勉強会のリストもついていて、コンパクトにいろいろなものが詰まっていて、素敵だなぁ、と思いました。
発行者NPO法人コミュネット楽創さんです。どうもありがとうございました!
札幌でのIPSワークショップと、IPSをたっぷり学ぶ合宿の様子も
各地のさまざまなIPS勉強会

Monday, August 12, 2013

IPSのワークブックを読んだ方からのメッセージ

IPS(意図的なピアサポート)のワークブックというものがあります(詳細は末尾に)。そのワークブックの窓口を私(宮本有紀)がしているのですが、このワークブックを読まれた方からお電話をいただきました。

IPSを読んで、自分にあてはまるもの、思い当たることばかりだった。これを読んで、自分の癖や習慣があることに気づいたし、それを変えていける、変わっていこうかなーと思う。

(どこでIPSに出会ったのか?)自分はもともとは、WRAPの関係でこのIPSに出会って、これだと思ったんです。

自分はこれまで、一方的に人を助けたり、ということをしてきてしまったが、そうすると相手は自信をなくしていくばかりだった。
例えば先生(医師やカウンセラー、看護師)たちは、お互いに励まし合って助け合いなさいなんて言わない、自分たちはいつでも先生の言葉を待っていて、そして、自分のことをさらけ出さなければいけないと思ってしまうくせがあった。自分のことを先生にさらけ出すだけでなく、近所の人にまでさらけ出さなければいけないと思っていたところもあった。
当時のことを思い起こせば、自分ではできないと思って、地域の仕事も家族に引き受けてもらったりもしていた。

だけど、今、IPSと出会い、一方的に助けられるばかりじゃなくて、人間は、お互いに支えあう関係で、助けあいながら生きていけるんだとわかった。自分も近所の人に挨拶をしたりするようになったし、近所の人の愚痴や困っていることなども聞いたりするようになり、そうしたら、自分の悩みが特別なものではないということがわかった。病気に関わらず、人というのは、持ちつ持たれつ、お互いに助けあいながら生きていくものだ、ということを学んだ。

精神病患者というのは、自分の問題に没頭するように仕向けられていたり、受け身で治療を受けていたり、与えられるばかりと感じることがあるが、それは、自分の持っている力、持っている可能性を絶ってしまうことにつながっていると思う。病院に行くと、私たちは力がない、と思ってしまいがちだけれど、そう思ってしまったら、本当は力があるのに、もったいない。私達にも人と関わりあったり、人を助けたりできる、自信を持とう、と思う。

自分は当事者研究にも取り組んでいて、そこにIPSを導入しはじめている。先日も、ある集まりで「あなたは与えられているばかりの人ではありませんか?」から話をはじめてみた。これはね、IPSのワークブックに書いてあったことなんだけどね。でも、その話をしたら、うんうん、って頷いてくれる人たちが大勢いたんですよ。

とのことでした。

このようなお話をお聞きできて私はとてもうれしく、IPSブログにもお聞きしたことを書いてよろしいかお聞きしたところ、ご快諾いただきました。ナカムラさん、どうもありがとうございます!!!
電話でお話しながらメモを取らせていただいたため、お話いただいたことの半分もここに記載できていないのが残念ですが、私が教えていただいたことが他の方に少しでも伝わったらうれしいです。

IPSのワークブックについて:
IPSのワークブックの原版は “Intentional Peer Support: An Alternative Approach
というもので、Shery Mead さんのShery Mead Consulting のウェブサイトから入手可能(価格:35ドル)です。このワークブックを久野恵理さんが翻訳された日本語版を、小冊子7冊にしてあります(1冊500円、7冊セットだと3,000円)。