Tuesday, February 21, 2012

IPS研修会(東京) 201202

2012年2月17日~19日、東京でIPS(Intentional Peer Support)研修会が開催され参加してまいりました。

参加者の皆さんの許可を得て、写真の紹介をしつつ、研修会の報告と感想を書かせていただきます。私(宮本有紀)の個人的な感想です。

ツイッター上で、参加者の方がいろいろ感想等をつぶやいていらして、それらを引用したい気持ちもとてもあるのですが、お一人お一人から許可を得るのはやや時間がかかりそうで、かといって許可なく引用をしても良いものなのかわからなくて(たぶん、ツイッターって公開だからいいんだろうけれど)、とりあえず、この記事に関しては、私の感想だけにいたします。研修内容の網羅は全くできておらず、まとまらないままですが。。。

研修初日(2月17日金曜日)
ストーリー。第一声。
生きている人、一人一人にストーリーがあること、自分は選択することができるということに気づくことができないような環境の中にいることについて考えるきっかけをいただきました。
また、ロールプレイの中で、第一声で、受け止められた!と心がほどけるような、ぐっと近づくような言葉や言い方があること、話の展開とか、そんなことではないんだな、と感じる瞬間がありました。

二日目(2月18日土曜日)
自分の思い込みを脇に置いておくこと。
一呼吸置くこと。
相手にとっての意味への興味。
誠実さ。

三日目最終日(2月19日日曜日)
マインドフルネス。
相互性における自分の受け持ち。
自分が感じていることに気がついていること。
相手の人が聞けるような言い方で言うこと。
相手にとって手痛いことを言うときには、相手に準備をしてもらえるような一言も大事。

  
話し合いなどの小グループ演習を交えながら3日間学びました。

講師の久野恵理さん、一緒に学んだ皆様、研修を支えてくれたかとうちゃん、こばちゃん、関係者の皆様、ありがとうございました。



感想など、このブログで紹介しても良いという方は、是非教えてくださいませ!

Tuesday, January 10, 2012

ピアサポート関連論文紹介 Chinman 2001

Chinman MJ, Weingarten R, Stayner D, Davidson L. Chronicity reconsidered: Improving person-environment fit through a consumer-run service. Community Mental Health Journal, 37 (3), 2001.
(Matthew J. Chinman, Richard Weingarten, David Stayner, Larry Davidson.)

「Chronic(慢性の)」という概念を再考しよう、というこの論文は、
過去には、“Chronic(慢性の)”という言葉は重い精神疾患を有し、州立の精神科病院で長期にわたるケアを受けているような人々を指すのに使われていた。そしてこの言葉には、こういった人々は良くなることはなく、長期に保護的なケアを必要とするという考え方が含まれていた。しかしながら、世界の様々な場所で行われた研究により、このような疾患を有する人達の多くが時間とともに良くなるということが証明されてきている。そしてもっと最近の研究により、このような人々は入院よりも地域での暮らしを選ぶこと、その殆どの人は適度に適応して暮らしていくことができること、そして症状が残っていたとしても、豊かで充実した人生を送っていくことができることが示唆されている。このようなエビデンスがあることもあり、そして精神保健の当事者達にとってこの言葉は屈辱的であると捉えられたこともあり、“chronicity(慢性化)”というような言い方はあまり好かれなくなってきている。(Chinman, 2001. p.216 line 1-20)
というような緒言ではじまっています。

この論文では、“chronicity”を、人と環境がうまく合っていないことによるものだ、つまり、精神科疾患を有する人の多面的で複雑なニードに対して、地域の精神保健システムはそれに対して適切な準備ができていないことによるものであることを考えてはどうかと言っています。

さらにこの論文では、“Welcome Basket Program”という、精神保健の利用者により作られ、スタッフも管理者も皆利用者というピアサポートベースのプログラムについての紹介がなされています。

Welcome Basketという、精神保健の利用者によって運営されているこのプログラムは、まずは入院中の人のところに行って、このプログラムを紹介し、参加したいかを聞き、退院後、その人の家に訪問して食べ物や植物、地域のお店の割引券などを入れたバスケットを届けるのだそうです。さらに、地域の互助グループの紹介などもするとのことです。

さらに詳しいプログラムの説明と、このプログラムの効果に関する予備的な研究結果が示されていますが、この論文では、Welcome Basketと対照群はどちらもその後の入院日数に減少が見られたものの、Welcome Basketを利用した人とそうでない人との有意な違いはなかった、という結果でした。
今後は実際にその利用者達がどのような経験をしているのか(実際にどのような介入で、どのように評価するのが良いのか)を確実にするためにも当事者の人たちにこの研究に協力者として加わってもらう必要があるだろう、参加型アクションリサーチは有用であろう、と言っています。


ここ↑で紹介されているWelcome Basket Programとは、たぶん、Connecticut Mental Health Centerのウェブサイトで紹介されているSocial Integrationのサービスの一つだと思われます。



ピアサポートに関する論文を読んだりしていて、せっかくならこのブログにもメモを残しておこうと考え、論文紹介を時折アップすることにしました。掲載する順に意味はありません。また、特にお勧めのものだけを載せる、というわけでもありません。




Monday, December 19, 2011

クライシス状況におけるIPSの研修報告

クライシスの状況におけるIntentional Peer Support (IPS) の研修(2011年12月9日~11日)に参加しました。

研修会に対する自分の感想や研修で取り扱われた内容がごちゃまぜになっていますが、自分のツイートの引用で報告させていただきます。













自分のツイートの引用はいつも以上にまとまっていなくて恥ずかしい気もしますが、でも、その時その時に感じたことをつぶやいていたんだなぁ、と考えると、これはこれで良いことにします。

Shery Meadさん、久野恵理さん、参加された皆様、どうもありがとうございました。

Friday, December 2, 2011

医療人類学

医療人類学のメモのさらに続き。

「Biomedicine(バイオメディスン)はメディカルシステム(医学体系)のひとつに過ぎない。」

現在の日本では西洋医学(あるいはバイオメディスン)が科学的なものとして捉えられており、学生の頃は、特に疑うことなくそれが最善のもの、最先端のものとして学んできたけれど、医療について考えさせられている今、医療人類学の講義での上記の言葉に納得しました。
健康や病、身体に対する見方考え方が異なれば医療観も異なると思われます。
これは、文化によっても異なるでしょうし、時代によっても異なるでしょうし、個々人によっても異なると思われます。

科学的とはいったいどういうことなのか、自分が信じているもの、世間が信じているものがいつも誰にとっても最善とは限らないことに気づいていることは大事だと思いました。

Thursday, December 1, 2011

人類学

人類学メモの続きです。

前回の記事を読んでくださった方から、「参加型リサーチというのがあまりよくわからない」とコメントをいただきました。私もまだわかっているとは言い難いです。

ただ、その要素の一つは、関係する人々は、研究の対象ではなくて、研究に参加する人だ、という考え方なのかな、とぼんやりと思っています。

研究に参加する、といっても、いろいろな参加の形があって、 

  • 情報を提供するという形の参加 
  • 情報を提供する人から情報を収集する役割(インタビュアー)としての参加 
  • 情報を提供するグループ(フォーカスグループ)のファシリテーターとしての参加 
  • データ分析や結果の解釈をする際の助言者としての参加
  • 方針を決定する権限を有する者としての参加 

などがあります(Wallerstein & Duran, 2003)。

このため、あるものごと(文化や集団、考え方など)についてさらに深く知るために、そのものごとに関係している人に参加してもらう、と言っても、いろいろな参加の度合いがあり、参加型リサーチもいろいろな形となるのだろうと思っています。

また、前回の記事を読んでくださった別の方から、
「支援者と非支援者の間で真のパートナーシップは生じ得るのか、
なんてことを話しあっているコミュニティと研究者の間で、
真のパートナーシップは生じ得るのか? という議論、
人類学とIPS似てますね」とコメントいただきました。

私もそう思っていたところです! 


人類学の中に、Linguisic Anthropology というものがあり(言語人類学と言うのでしょうか)、ここでは、例えば関心を持っている文化や考え方、世界観について知る際に、通訳・翻訳に頼るのではなく、そこで使われている言葉を知ることを重視している、と私は理解しました。

言葉というのは、そこで大事にされているものごとが現れていると思います。
大事である、あるいは意味があると思うから話したりコミュニケートしようと思うわけで、そう思う人々の間には、それを指し示す言葉が存在しやすいのではないかと思います。それらの言葉を知ることで、その人たちが大事にしていることにも近づきやすくなるのではないかと思いました。 

人類学のはとても深くて幅広いものなのだろうと思いますが、ものごとの背景あるいは文脈を知る、人々の考え方や世界観を知る、など、IPSのことを思い出さずにいられないキーワードがたくさんありました。

Wallerstein, N. Duran, B. The conceptual, historical and practice roots of community based participatory  research and related participatory traditions. In  Community Based Participatory Research for Health. Minkler, M. Wallterstein N. eds, CA: Jossey-bass, 2003, pp. 27-52.