Monday, July 11, 2011

IPSを学んだ方より:IPSで変わったこと

Intentional Peer Support (IPS) の研修会に参加された方が、IPSで変わったことについて書いてくださいました。

皆様のメッセージを共有できるのはとても有り難く、うれしいです。 どうもありがとうございます!
IPSを学んでどのように感じているかを知ることで、とても気付かされることがたくさんあります。本当にありがとうございます。

ご本人の許可を得て、ここに記させていただきます。

「IPSで変わったこと」

IPSを知って変わったのか自分の中で何かが変わったのかはわからないが、自分の中の何かが壊れて新しい何かが作られてきてると最近思う。

IPSを知った時、IPSみたいな会話をしてと思いながら、会話をしていたら、ちぐはぐな会話になっていった。IPSを意識すればするほどちぐはぐになり、自分は何をしてるんだ、と思う日々が長く続いた。今もIPSがわかった訳じゃないし、ますます混沌としてるのだけど、最近、人との会話で距離を保つことができるようになってきた。相手の気持ちに思いを馳せれる自分がいる。相手の気持ちになって、(なってないかもしれないけど…)一歩引いて話を聞ける自分がいる。そして、相手の気持ちを汲み取っているというか。

友達でいつも私はダメだから、Aちゃんみたいに頑張れないと言っていつも途中で投げ出してた友達が、「作業所に行けなくなったけど、また行きたいと思うけど…やっぱり無理かもしれん」って電話があった時、前なら頑張って作業所いかなあかんと励ましてたのに、その話を聞いて、私が言ったのは、「頑張ってたんやね。前は諦めてたのに、頑張ってるやん」って。自然に出た言葉だった。

違う友達と話してた時は、友達の友達の話になって、仕事を引き受け過ぎてしんどいらしいと言う話を聞いて、前ならきっとそんなに頑張らんでいいのになあ~って悪く言ってたと思うけど…その話を聞いて、ふっと自分がその人だったらと自然に考えてた。そしたら、その人は優しくて仕事が断れないのかもしれないと思い、「優しい人なんだね」と言ったら、友達がうれしそうな顔をして、「そうやねん。優しいねん」って、その友達のことを話してくれた。

IPSの言うところの相互性や世界観とは違うのかもしれないけど、今の私は、その人が話してることだけではなく、どうしてこんな話をするのだろうと思いながら、話すようになってきた。質問することが増え、会話が一方通行になることもあるし、質問が的を外れてることもある。でも、前は全くわからなかったスペースを人と持つということがなんとなくわかってきたような気がする。

今まで自分の話ばっかりに熱中して、人のことに思いが全くいってなかった。今も自分の話に熱中してしまうけど、ふと我に返って、人のことに思いがいくようになった。

それがIPSとなんの関係があるかはわからないし、IPSを知ってたから、変わったのかもわからない。でも、前とは違う会話をしてる自分がいて、前とは違う関係を築きたいと思う自分がいる。もっと人のことを知りたいと思うし、人は見えてる部分だけじゃなく、もっと奥深いものだと思う。いろんな思いを持って生きてるのが人間だということ。私にみえてる他人は、その人のごく一部であること。そして、他人がみてる私もごく一部なことをやっと気づいた。

IPSを知って、人との関係が急激に変わったことはなく、確かに、人と深い話をしたら楽しいとは思うようになったけど…それで人との関係が変わったとは思えない。
最近、一人で考えることが多く、人と深い話をしないようにしてる。深い話は面白いとは思うけど…深い話をしたからと言って、その人の言うことが、本当に理解できるのか?逆に私の考えが人にわかるのかと考えたら、結局のところ自分にしかわからないじゃないかと気づいた。深い話が無駄だとは思わないけど…深い話だけで人は成り立ってはいないと最近思う。

人との関係も深いところで繋がろうと思ったら、つまらない話も無駄ではなく、その話の中にその人が見え隠れしてることがあると思う。当たり前なことかもしれないけど、やっとそのことに気づいた。その人が何を大切に思ってるか、何に価値を見いだしてるかは、深い話をしないと見えないのじゃなくて、他愛もない会話の中にもあるんじゃないかと。

天気の話でも、雨の日にご機嫌な人もいる。その時、なんでその人は雨でうっとうしいのにご機嫌なのか?って聞いてみたら、面白い話が出てくる。逆に不機嫌な人になんで不機嫌なのか聞いてみたら、また面白い話が聞ける。

質問するといろんなことに気づく自分がいる。今までいかに人に興味を持って話してなかったかということに気づいた。IPSを学んでるのに、人との会話で、そのことがいかせてなかった。IPSをいかすのは、難しいと思うし、IPSが何かもわからない。でも、人の話してることを受けとめる余裕が少しできてきた。ここがスタートラインなのかもしれない。ここから何かつかめるものがあるのかもしれないと思う。

今まで、IPSとは、当事者同士でしか通じないものという思い込みにとらわれていた。IPSで言われてることは、通常の会話でいくらでも使えることにやっと気づいた。病気を経験してるピアがすることももちろん大切だとは思うけど…その中だけでとどまってまってたら、結局、精神保健の世界を崩すことにはならないんじゃないか、精神保健の世界だけで社会は成り立ってはいないと最近思うようになった。確かに精神保健という社会があって、そこを変革することは必要だと思うけど…それが全てなのか?という疑問が湧き上がってくる。

WRAPやIPSは、いいものだと思うし、いろんな人が知って、精神保健のいがんだ部分が露わになればいいと思う。

でも、最近思うのは、精神保健の世界がいくら変革されようと、そこにいる人が本当に変わらないと意味がないんじゃないかと思う。

友達で、医者が悪い、病院が悪いといい、何回も転院を繰り返し、そのたびに、医者の悪いところを見つけ、言ってくる。最近まで、まともに返事をしてたけど・・・この人に何を言っても無駄だと思うようになった。どんな人も欠点はあるのに、と。

ある人は、よく鬱が襲い、動けなくなる、Aさんは元気でいいね。夢を追いかけていいね、自分も夢があるからそれを目指したいから話を聞いてほしいというけど・・やっぱり鬱で体調がよくないといって、話もできない。

こんな人は、きっといっぱいいると思う。こういう人たちにこそ、WRAPやIPSが必要だと前まで思ってた。でも、WRAPやIPSを知ったところで、何が変わるのかとも思う。関係が変われば、人は変わると思ってた。でも、関係をいくら変えたところで、本人が変わらなきゃ、何も変わらないと思う。人が変わるのは、自分で変わりたいと思って行動に移した時という言葉が頭から離れない。

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