Friday, November 25, 2011

参加型リサーチ

医療人類学(Medical anthropology)についての講義に参加する機会がありました。本当にいろいろな学びがあり、また、もやもやと思っていたことが整理された部分もあり、このような機会と、関係する皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

学んだことは多々ありつつも、まずは、参加型リサーチ(Participatory Research)について。

参加型リサーチにおいて、コミュニティ(ここでは研究対象となるコミュニティ)と研究者の間で、真のパートナーシップ(genuine partnership)は生じ得るのか?という議論がされているそうです。真の対等な関係は可能だと考える人もいれば、真のパートナーシップを築くために、研究者は研究機関の職を辞してそのコミュニティに入れ、という主張もあるのだそうです。

いずれにせよ、どのような関係にも、力の関係(Power relations)はあるということは大前提となっています。

どのようなコミュニティなのかにもよるのだろうとは思いますが、私自身は、真のパートナーシップを築くことは簡単ではないと思っています。このため、職を辞してそのコミュニティに飛び込む人がいることも不思議ではないと感じます。ですが、職を辞すというよりは、研究者という職業についていること、そこに付随するパワーを意識しながらコミュニティに参加していく、ということが今の自分がしたいと思っている形なのかな、と考えていました。

また、比較的最近の考え方として、Reflexive anthropology(再帰的人類学?)といって、研究者がその研究の中での自身の立場やパワーについて考える、ということの重要性についても教わりました。

研究者とコミュニティとの関係だけでなく、どのような関係にも、パワーは存在すると思います。
それらの関係の中で、パワーを全くないものにすることはとても難しいことだと思いますが、そのパワーの存在を認識したり、パワーが生じている背景にはどのようなことがあるのかを考えたり、そのパワーについて話し合ったりすることはとても重要なことだと感じています。



以下、コミュニティの参加型リサーチ(Community Based Participatory Research: CBPR)に関するメモ。

コミュニティの参加型リサーチには、次の二つの伝統があるそうです。
  • 社会のシステムを向上させる (Improvement of social system)という流れ<Northern traditionとも呼ばれる>
  • 解放する(Emancipation)という流れ<Southern traditionとも呼ばれる>

このSouthern traditionに関連して、ブラジルの哲学者、Paulo Freireパウロ・フレイレ)の名前は覚えておくと良いとのことでした。


テキスト:
Wallerstein, N. Duran, B. The conceptual, historical and practice roots of community based participatory  research and related participatory traditions. In  Community Based Participatory Research for Health. Minkler, M. Wallterstein N. eds, CA: Jossey-bass, 2003, pp. 27-52.

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