Thursday, May 31, 2012

ピアサポートに関するレビュー論文

精神健康に困難を有する人のピアサポートに関するこれまでの研究を集めてまとめた文献レビューが雑誌(Clinical Practice & Epidemiology in Mental health)に掲載されました。 うれしいです~。

このレビューは、Intentional Peer Support (IPS)についてのレビューではありませんが、ピアサポートとはそもそもなんだろう?どんないいことがあると言われているのか?ピアサポートにまつわる困難なことがあるとすればそれはなんだろう?ということを知りたくて行った研究です。

ピアサポートと一口に言っても、自助グループ(セルフヘルプグループ)などの中で互いのサポートとなり合うこともピアサポートと呼ばれていますし、サービスを提供する機関に、サービスを利用する人と同じ経験を有する人が「ピア」として雇用され、サービスを提供することもピアサポートと呼ばれています。

そのような、ピアサポートの分類ごとに、どのようなことがこれまでの研究から言われているかをまとめたのがこの論文です。
誰でもここ↓で全文が読めるようになっています。pdfでダウンロードもできます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3343315/


抄録は以下の通りです。
We conducted a comprehensive narrative review and used a systematic search strategy to identify studies related to peer support among adults with mental health difficulties. The purposes of this review were to describe the principles, effects and benefits of peer support documented in the published literature, to discuss challenging aspects of peer support and to investigate lessons from peer support. Fifty-one studies, including 8 review articles and 19 qualitative studies, met the inclusion criteria for this review. Most of the challenges for peer support were related to “role” and “relationship” issues; that is, how peer support providers relate to people who receive peer support and how peer support providers are treated in the system. The knowledge gained from peer support relationships, such as mutual responsibility and interdependence, might be a clue toward redefining the helper-helper relationship as well as the concepts of help and support.


これを共著者の園さんが関西弁で訳してくれました(園さんのfacebookのページ内)。
馴れ馴れしい関西弁でいうと、
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ピアサポートに関する論文を読んでん。したら、めっちゃいろんな形があって、ええこと、むつかしいこと、いろいろあんねん。ええことは、提供する側、される側、近くで見てる人、それぞれにいろいろあって、QOL向上やら入院減少やら、ロールモデルが得られる(になれる)、気持ちを理解してもらえる、信頼できる、偏見を減らす、いろいろや。で、むつかしいことなんやけど、役割があいまいで、友達関係と契約関係の間で葛藤があって、報酬は十分ちゃうし、とかな。ほんで、どうしたらもっと良うなるか、課題を克服できるか、考えてはる人がぎょうさんいて、例えばやな、相互に責任を持つ関係とか、敬意を持ったコミュニケーションとか、安心できることとか、柔軟であることとか、言うてはるわけ。ほんで、これって、ピアサポートに限らず、医療者と利用者の関係全般とか、もっと広く人と人の関係全般にも当てはまる大事なことやん?援助者-被援助者関係とか、そもそも援助とか支援とか、そういうのを考え直す上で、ピアサポートから得られる関係性に関する学び、重要なカギになるかもしれへんと思わへん?思うやろ?せやろ?
・・・でしょうか。
また、この論文について、園さんがご自身の会社(株式会社シロシベ)のブログでもご紹介くださっているので、そちらも合わせてご覧くださいませ。


Yuki Miyamoto, Tamaki Sono
Lessons from Peer Support Among Individuals with Mental Health Difficulties: A Review of the Literature
Clin Pract Epidemiol Ment Health.  2012; 8: 22–29.  Published online 2012 April 16. 
doi: 10.2174/1745017901208010022

PMCID: 
PMC3343315

Tuesday, May 22, 2012

動画を一緒に見てツイッターで集う

先日(2012年5月8日)、シェリー・ミード(Shery Mead)さんの動画「IPSの三つの視座」を見ながら、思ったこと、感じたこと、印象に残った言葉、などなどをツイートする、という催し(?)がありました。

動画は18分弱の長さです。動画を見て声を聴きながら、その字幕を読み、さらにそれについて感じたことをツイートする、その上さらに他の人のツイートを読む、というのは、かなり忙しい作業でしたが、同じ時間に同じ動画を見ている人たちの感想や思ったことなどをツイッターを通じて見ることができるのは、おもしろい体験でした。

シェリーさんが日本語でしゃべっててくれたらもっと楽なのになぁ。。と思ったりもしますが、まぁ、それは致し方ないですね。
当日のツイートは、ハッシュタグ #ipsjp13をつけて行いました。

その時のツイートを@tamakisonoさんがまとめて(togetterして)くれてました。 http://togetter.com/li/303820 これはありがたい。

動画を見るだけでも、感じることはいろいろあるのですが、他の人の感想や気づいたことなどを読むことで気づくこともたくさんありました。
また、自分も、ちゃんとした感想を書かねば!となると身構えてしまうのですが、ツイッターでちょっとくらい誤字があってもいいや、くらいな気持ちで短くつぶやくのも悪くないな、と思いました。(広く発信されると考えちゃうと、ちょっと勇気はいるけれど。)

シェリーさんの講演等、この動画も他の動画も、いつでも誰でも http://intentionalpeersupport.jp/ で視聴可能なので、是非ご覧になってみてくださいませ。