Thursday, November 3, 2011

シャーマズ 「グラウンデッド・セオリーの構築」

Kathy Charmaz (キャシー・シャーマズ)著 「グラウンデッド・セオリーの構築:社会構成主義からの挑戦 (原題 Constructing Grounded Theory: A practical guide through qualitative analysis)」を読んでいます。

Sue Estroffさんをはじめ、いろいろな方から勧められ、友人達と一緒に読み始めました。字がぎっしりと書いてある本を読むのが得意ではなく、また、聞いたことのない単語(日本語ですが。。)がたくさん出てくるため、まだまだ学び始めたばかりの私にとっては、すいすいと読み進むことができるとは言えない本です。

まだ読破はできていませんが、とても勉強になっています。また、Charmazさんの考え方には共感できるところが多く、研究に対する考え方についても気付かせてもらうことが多いです。

Intentional Peer Support (IPS)をもっと知るための取り組みについて考え続ける日々ですが、自分は研究者としてというよりも、IPSをもっと知りたい、IPSに取り組んでいる人といろいろなことを共有し、学び合いたいという思いでこの取り組みをやっているんだな、と感じています。それと同時に研究としても取り組んでいるわけで、自分の生きる上での学びと研究を自分の中では切り離せないことを認識しつつあります。

そのようなことをごにょごにょと考えているときに下記を読んで、少し納得できたところがありました。

 「私は、この本の全編を通じて、グラウンデッド・セオリー法を使うことや理論化を行うことを、研究者が特定の場所や時間において他者と協力して営む社会的行為(social actions)として扱ってきました。研究参加者に加え、他の研究者・教師・学生・機関内委員会・そして無数の人々が私たちの心の中で生きており、彼らとの直接の接触から長い年月を経てもなお、私たちが研究をどのようにして行うのかに影響を与えています。私たちはデータと相互作用し、それに関する理論を創造します。しかし私たちは、社会的真空の中で存在しているのではないのです。」p.139

研究者は、何かに影響を与えてはいけないのではないか、中立的に関わらなければいけないのではないか、という考えも自分の中には絶えずあるのですが、このように、研究参加者やその現実から自身を隔て距離を保ち、客観的な立場で観察を行おうとする考え方は「客観主義的アプローチ」であることを学びました。

これに対して、「構成主義的アプローチ」は、「簡単には変わらないが常に変化している世界を前提とし、さまざまなローカルの世界と多様な現実を認識し、そのローカルな世界とより大きな世界にいかに人々の行為が影響を与えているのかに焦点を当てています」(p.142)。そして、「データと分析はともに研究参加者やその他のデータ源と共有された経験や関係によってつくられるものと考え」る(p.140)のだそうです。

この、客観主義的アプローチと構成主義的アプローチに関する理解がこれで正しいのか、ちょっと自信がない部分もありますが、私が取り組みたいと思っていることや、そもそもIPSそのものが、構成主義的アプローチなのではないか、と感じました。

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