Monday, August 30, 2010

アクションリサーチ:パーカー 「ラディカル質的心理学―アクションリサーチ入門」

イアン・パーカー(Ian Parker)著、八ッ塚一郎訳の「ラディカル質的心理学―アクションリサーチ入門」を読みました。印象的な言葉のメモです。



この本の原題は「Qualitative Psychology: Introducing radical research」。2010年08月09日16:15:10

ラディカルって何だろう。radical: 徹底的な、根本的な、基礎の、本来の、急進的な、過激な、先鋭の。2010年08月09日13:15:12

p.12 ラディカルな心理学研究では質的研究方法がしばしば採用される。しかしそれは、質的研究が絶対的に優れているからではない。2010年08月09日13:20:26 

p.12 続き:しかしそれは、質的研究が絶対的に優れているからではない。今のところ質的研究のほうが、科学(あるいは科学的でないもの)の本質について高度な議論を展開しやすいからというだけのことである。2010年08月09日13:21:19

p20 倫理に関する5つの重要事項―人間性、相違、個別性、了解不能点、異種混交性。2010年08月11日23:45:29

p32 バディウ Badiou による悪の生まれる三つのパターン―幻影simulacra、背信betrayal、絶対視absolutization 2010年08月11日23:51:52

p32 Badiou による悪―「幻影simulacra」物事を誤らせ損なってしまう偽りの像、「背信betrayal」当初の思いを捨て去り裏切ること、「絶対視absolutization」全てにわたり何らかの枠組みを強要し同意を強いること。2010年08月12日23:03:51

p40 客観的であろうとする試みはすべて、ある種の主観性を必要とする。2010年08月12日23:05:57

p41 反省とは、経験を問い直すこと、ある出来事がいかにして自分の感じた形にでき上がっていったかを関係の中で問うことである。2010年08月12日23:07:55

p43 記述することは、他者に向けて呼びかけることである。ひとつの主観的な経験がいかにして生じたのかを、異なる主観に向けて説明する試みのことである。2010年08月12日23:55:03

p46 人は自分の経験の書き手となることで、自分の経験からいくばくか距離をおけるようになる。その結果、自分たちの特定の主観性、特定の物の見方や考え方がいかにして生じたのかを反省できるようになる。2010年08月13日23:07:06

p78 インタビューは目的をもった会話であるとよく言われる。ただし、目的がインタビュワーによって最初に決められている点が、インタビューと会話の本当のちがいだとされる。2010年08月19日22:40:42

p79 インタビューに関わる人々がうまく事を運べるかどうか、共同研究者(インタビュワーとインタビュイー)たちがインタビューを通して新しいものを生み出していけるかどうかも(リサーチクエスチョンは)規定する。2010年08月19日22:45:27

p.177 われわれには共同研究者(研究協力者)がいる。たとえば、共同研究者にとって重要な意味をもつ問題については、共同研究者に判断を委ねるという方針ですべてを貫いてもよい。すると、共同研究者とのやりとりを通して研究方法自体が生み出されてくる。2010年08月19日22:59:07



ラディカルってこういうことを言うのかー。と思うような、斬新な意見もたくさんある本でした。

正直に書くと、続きを早く読みたい!とはならない時期があり、一ヶ月以上毎日持ち歩いていたにもかかわらず、流し読みというか、 途中を飛ばしながら読んだ部分がありました。
というわけで、飛ばした部分を読んで印象に残ったものがまた出たらそのときにまた書きます!

Sunday, August 29, 2010

アクションリサーチ:モートン=クーパー「ヘルスケアに活かすアクションリサーチ」

Twitter の読書メモ、振り返りやすくするためにブログにまとめます。まずは、アクションリサーチの本です。

アクションリサーチというのは、1940年代にクルト・レヴィン(Kurt Lewin) によって提唱された研究手法です。この言葉が最初に出てきた論文はおそらく「 Lewin, K. (1946) Action research and minority problems. J Soc. Issues 2(4): 34-46」です。

このアクションリサーチという手法、Intentional Peer Support 研究の参考になるのではないか思い、アリソン モートン=クーパー(Alison Morton‐Cooper)著、 岡本玲子、鳩野洋子、関戸好子訳の「ヘルスケアに活かすアクションリサーチ」を読みました。

以下、印象に残った言葉たちです。


p15 アクションリサーチは、研究方法の1つではなく、ましてや研究方法群でもない(しばしばそのように言われてはいるが)。2010年07月18日08:51:20


p15 それ(アクションリサーチ)はむしろ、人々が相互支援的な環境のなかで、自分たちの置かれている状況の理解を共有し、改善することに役立たせることのできる人間問題の研究に対する哲学的アプローチである。2010年07月18日08:53:01


p19 (操作的定義として)アクションリサーチとは「実際のヘルスケアの現場における問題を明確にし、可能な解決策を探るために行う共働的介入である」と実用的な説明ができるだろう。2010年07月18日08:55:59


p102 (アクションリサーチで)「本当に大事なことは、社会に関連する重要な問題を議論するという、あなたが実践者とともにやってきたことなのである。」 2010年08月01日23:49:05


p119 (アクションリサーチにおいては)「実際にそこで活動している第一線の関係者が、その価値や大事にしていることを認識し共有する過程を通して、主体的で意味のある変化をもたらす」 認識、共有。大切そう。。2010年08月01日23:54:15



コンパクトで(分厚くなくて)、持ち歩きやすく、読みやすい本でした。

Intentional Peer Support (IPS)のことをもっと知るために、 実際に自分もIPSに取り組み、そして、IPSに取り組んでいる人たちと対話をして、深めていきたいと考えています。
それだけだったら、やればいいじゃん、というものなのですが、そこで取り組んだことやわかったことを「研究」の言葉や「専門用語」に慣れている人たちから見てもわかるような形で表現していきたい、と考えています。
そんなわけで、自分のやってみたい形に近い研究手法をいろいろと勉強中です。

この過程でツイッターが読書メモに便利なツールであるということも発見しました!